【実生栽培記録】アガベ・パリー'ホーチエンシス'の実生(種まき)の方法と育て方【完全ガイド】

アガベ・パリー'ホーチエンシス'(Agave parryi var.huachucensis)は肉厚で青緑がかった白っぽい葉と、黒紫色(赤黒い)鋸歯(トゲ)が特徴的なアガベです。

今回はアガベ・パリー'ホーチエンシス'の種子を入手することができたので、実生栽培にチャレンジしている様子を記録していきます。

この記事では「実生が初めてで、どうすればいいのかわからない!」という方でも分かるように、種子の入手方法から、種まきや管理方法について、さらには実生株の成長過程の様子まで解説していきます。

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また、管理人が育てていく中で気づいたことや疑問に思ったこと、成功体験や失敗したことも惜しげもなく発信していきますので、ぜひ最後までご覧ください!

注意!
こちらの記事は園芸初心者の方でもわかるように、実生について1から解説した記事になります。
成長記録だけを知りたい場合は、下記のボタンをクリックすることで成長記録までスキップすることができます。

 

実生とは?

植物を種から育てることを「実生(みしょう)」と言い、成長した株(苗)のことは「実生苗(みしょうなえ)」と呼ばれます。

実生の醍醐味はなんと言っても、これまでにない特徴を持つ株が出てくることでしょう。自分だけのオリジナル株を生み出すことができるかもしれないと思うと、これまで以上に植物にハマること間違いありません。

また、実生株は最初から日本で育てられるので、日本の気候に適した性質を持ちやすいと言われています。

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実生苗は大人の株になるまでに時間がかかりますが、最初の頃は成長が目に見えてわかります。また「自分が種から育てた」というだけで、既に育った株を買ってきて育てるよりも愛着が湧きますよ!

 

やり方・育て方は人それぞれ

植物の生育において「絶対にこのやり方が正解!」なんてものはありません。人が違えばやり方・考え方も違います。

これは実生についても言えることで、絶対にこの方法が正解なんてものはありません。しかし、ところどころ違う部分があったとしても、基本的な部分(根底にあるもの)はどこも同じです。

このサイトに書いてある方法が唯一の方法ではありませんので、可能であればこのサイトだけでなく様々なサイトを見てみていただければと思います。

 

種子の購入先

種子は園芸店では販売されていないため、種子を入手するにはオンラインショップで購入するのが一般的です。

 

有名なオンラインショップから購入

代表的なオンラインショップには「seed stock」や「多肉植物ワールド」「プラントブラザーズ」があります。

どのショップも新鮮な種子を販売しており、非常に信頼のあるサイトになりますので、初心者はこれらのショップから購入するのがオススメです。

おすすめのショップへのリンクは下記に貼っておくので、興味がある人は是非覗いてみてください。

  1. seed stock
  2. 多肉植物ワールド
  3. プラントブラザーズ
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これらのショップの中でも特に「seed stock」の種子は発芽率が高く、粒数も多めに入っており、さらには「おまけ」もついてくるので非常にオススメです!

 

フリマサイトから購入

メルカリやラクマ、paypayフリマなどのフリマサイト系は、種子が小分けして販売されていることが多いため、数粒単位で安く購入したいときに使用されます。

▶️ボタニカルファームのメルカリショップはこちら!
管理人もメルカリにショップを開いているので、もしよろしければご利用ください。

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まだメルカリに登録していない方は、お友達招待コードを入力していただくと500円分のポイントがもらえます。
下記にコードをコピーできるボタン貼っておくので、もしよろしければご利用ください。
「お友達招待コード」をコピーする
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フリマサイトは比較的安く種子が販売されており、購入するハードルが最も低い購入先とも言えます。
また、出品者によっては「おまけ」をしてくれたり、困った時には相談に乗ってくれる人もいますよ!

 

しかし、フリマサイトは個人間の取引になるため、いくつかの注意点もあります。

注意!
「商品画像や出品名と実物が異なる」「保存方法が悪く発芽しない」「梱包が雑で発送時に種子が割れる」などの問題が発生するリスクがあります。
基本的にはどの出品者も上記のような問題がないようにしているはずですが、中には悪徳な出品者もいるため注意が必要です。
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種子の品質に不安を持つ方は、先ほど紹介したseedstockや多肉植物ワールド、プラントブラザーズなどのオンラインショップを利用することをオススメします。

 

海外から輸入

海外から輸入することで相場の値段よりも非常に安価に購入することができますが、種子を輸入する際には必ず「植物検疫証明書」と呼ばれるものを発行する必要があります。

植物検疫証明書は発行するだけでも数千円は必要になるので、種子が少量の場合には割に合わなくなります。

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数百粒〜数千粒以上の種子を購入したい方は、海外から種子を輸入したほうが安く済むかもしれません。しかし、販売先のほとんどが外国語のサイトですし、信頼できるサイトでないと種子が届かない!なんてこともあるようです。
安心して購入したいという方は輸入しないほうが安全でしょう。

 

種まきをする上で必要なもの

種まきをするにあたり、以下のような道具が必要になります。

  1. 鉢(容器)
  2. 底面吸水トレー(受け皿)
  3. 育苗ポット(種まきポット)
  4. 用土
  5. 殺菌剤
  6. 熱湯
  7. メネデール(発芽促進剤)
  8. ラップ(蓋)

それでは、それぞれの道具について解説していきます。

 

鉢、容器

種を蒔いて植物を育てる上で必要となる土を入れるために鉢や容器が必要になります

種から出てきたばかりの根は細く非常に弱いため、少し動かすだけで簡単に千切れてしまいます。発芽したばかりの根にダメージを与えてしまうとその後の成長に大きく関わってくるため、鉢はできる限り硬さがある物をオススメします。

また、熱湯をかけても変形しないようなものがいいでしょう。後ほど解説しますが、用土に潜んでいる病原菌を殺菌するために、用土に熱湯をかけるのですが、その際に鉢が溶けてしまうと大変なことになります。

次からは、具体的な鉢(容器)にどのような種類があるのか、それぞれの使い分け方について解説していきます。

 

プレステラ

鉢の中でも特にオススメなのが「プレステラ」という商品になります。

こちらのプレステラは多くの人が使っており、程よい硬さと耐熱性があります。なおかつ鉢底と鉢の真ん中あたりにスリットがあることから通気性もあり、実生用としてだけでなく普通に植物を育てるための鉢としても非常に人気がある鉢になります。

プレステラは3号鉢サイズの「プレステラ90」と3.5号鉢サイズの「プレステラ105」の2種類のサイズが展開されています。
さらには、縦と横のサイズはそのままに、高さ(深さ)がある「プレステラ90(深鉢)」「プレステラ105(深鉢)」も用意されています。

また、深鉢限定にはなりますが、4号鉢サイズの「プレステラ120(深鉢)」も販売されています。

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種まき後も植え替えをせずに同じ容器で長期間育てたい方や個別に区分けして管理したい方にはオススメの鉢になります。

 

 

育苗箱

育苗箱は通常プラスチック製で十分な強度があり、底がメッシュ状になっているため通気性や排水性も備えている箱型の容器です。

いくつかサイズ展開もあるため、種子の数によって使い分けるのがいいでしょう。

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こちらは数百粒単位でまとめて大量に管理したい・育てたい方にはオススメの商品になります。

 

その他の鉢(容器)

ここまでオススメの鉢(容器)をご紹介してきましたが、ぶっちゃけてしまえば鉢(容器)は土が入って、排水できるもので、ある程度の硬さがあればなんでもOKです。

そのため、タッパーでもプラスチック製のコップ、さらに言ってしまえばカップラーメンの容器などでも、底に穴を開けて水が抜けるようにすれば使用することができます。

 

底面給水トレー(受け皿)

実生苗の管理として、水やりは基本的に腰水管理か底面給水を行います。

MEMO
  • 腰水管理:底面給水トレーに水を溜めておき、常に実生苗に水を供給する管理法
    →常に水を与え続ける(管理法)
  • 底面給水:育苗トレー等に水を溜め、鉢底から水を吸わせる方法
    →必要な分だけ鉢底から水を与える方法(水の与え方)

種から出てきたばかりの根は細く非常に弱いため、上からジャブジャブと水をかけてしまうと根が折れてしまい、その後の成長に悪影響を及ぼしたり、最悪の場合は苗の体力が尽きて死んでしまうことがあります。

そのため、鉢の上から水を与えるのではなく、鉢底から水を与えることができる腰水管理や底面給水が行われます。その際に鉢(容器)をよりも大きく、水を溜められる道具として底面給水トレー(受け皿)が使用されます。

 

育苗ポット(種まきポット)

「育苗ポット」または「種まきポット」と呼ばれるものは、種子を蒔くために必要な「鉢(容器)」と「底面給水トレー(受け皿)」、「湿度を上げるための蓋」がセットになって販売されている商品になります。

育苗ポットは「鉢(容器)に迷ったらとりあえずこれを買えばOK!」ということですね。

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初心者でも使いやすいですし、少量の種子を区分けして育てるのであれば育苗ポット(種まきポット)がオススメです。

 

用土

用土は「種まき用の土」を使用するか「通常の土(単用土)」を自分で配合して使用するのが一般的です。

また、種から出たばかりの根は土に潜る力が弱いため、表土はなるべく細かく軽い土が使用されることがほとんどです。

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実生に使用する用土は、清潔さを確保するためにもできる限り新品のものを使用することをオススメします。

用土を選ぶときのポイントは以下の5つになります。

  1. 肥料(栄養分)が含まれていないこと
    →肥料が含まれると「藻」や「カビ」が発生するリスクが高まる
  2. 清潔であること(無機質)
    →用土内の病原菌や害虫によって、苗が成長不良や病気、死亡する可能性がある
  3. 用土は柔らかく細かいこと
    →種から出た根が土に潜りやすくするするため
  4. 用土には硬さがある土も同時に使用すると良い
    →根が硬い土にぶつかることで、根が分岐するから
  5. 保水性があること
    →実生の場合は体内に水を蓄える力が弱いため、水を切らさないようにする必要がある

 

種まき用の土
MEMO
  • メリット
    →種まき用に特化した土の配合(保水性が高く、粒が細かい)がされているため、根が潜りやすく初心者でも簡単に使用することができる
  • デメリット
    →苗がある程度の大きさになったら、植え替える必要がある

メーカーの方で種まき用に適した土を配合してくれるため、安心して使用できる土になります。また、自分で土の配合をする必要がないため、初心者でも簡単に使用することができます。

 

 

通常の土(単用土)
MEMO
  • メリット
    →個々の植物に合わせた土の配合を行うことができる
  • デメリット
    →配合比率には正解がないため、自分の環境に合った配合比率を探す必要がある

育てる植物の種類や用途に応じた最適な土を作ることができますが、自分で配合比率を考える必要があります。一例として、通常の土(単用土)は、赤玉土の極小粒・細粒とバーミキュライトを1:1の比率で配合されたものが実生の用土として使用されることが多いように感じます。

バーミキュライトは土が細かく柔らかいため根が潜りやすく、赤玉土は根の分岐を促進させ苗を支えることが目的として使用されます。また、実生において非常に重要となる「保水性」はどちらの土も兼ね備えられています。

 

 

用土や種子の殺菌

実生において、用土内に病原菌や害虫がいると苗が成長不良を起こしたり病気になったり、最悪の場合は苗が死んでしまう可能性があります。

新品の用土であればそこまで心配する必要はありませんが、種子をできる限り無駄にしないためにも、念には念を入れて用土の殺菌をすることをオススメします。

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種子は非常にカビやすいにも関わらず、一度カビが生えてしまった種子は発芽させることはほぼ無理だと思っていいでしょう。そのため、種子や用土の殺菌は非常に重要な工程になります。

 

熱湯消毒する(用土のみ)

用土の消毒方法はいくつかありますが、その中でも最もポピュラーなものが、用土に熱湯をかける方法になります。

その他の用土の殺菌方法としては、用土を電子レンジを使用して蒸気が出るまで加熱して殺菌する方法や、鍋を使用して用土を熱々になるまで炒めたり、蒸気で蒸して加熱殺菌する方法などがあります。

 

殺菌剤を使用する(種子と用土)

殺菌剤を使用する方法も熱湯消毒と並ぶほど代表的な殺菌方法になります。殺菌剤の場合は用土だけでなく種子自体に潜んでいる病原菌の殺菌にも使用することができます。

殺菌剤として有名なものが「ベンレート」や「オーソサイド」「ダコニール」になります。どれも水に希釈してから使用する必要がありますが、希釈倍率は植物によって異なります。

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有名な殺菌剤にも色々と種類がありますが、どれがいいのか困ったら「ベンレート」を使用しましょう。
ちなみに、管理人は現在「ホーマイ」という殺菌剤を使用しています。

 

 

 

 

メネデール(発芽促進剤)

メネデールは種子の発芽を促進するための「植物成長調整剤」になります。種子を浸水させる時や腰水管理の際に使用します。

メネデールを使用した際に期待される効果は以下の通りです。

MEMO
  • 発芽率の向上:メネデールに含まれる成分が種子の発芽を促進させ、発芽率が向上することがある
  • 成長促進:植物の光合成を活発化させる成分(鉄イオン)が含まれているため、種子が発芽した後の成長が早くなることがある
  • 根の発達:根の成長を助け、苗がより強く健康的に成長することがある

メネデールはあくまでも「植物用の活力剤」であるため肥料分は入っていません。

また、メネデールがないと絶対に発芽しないということではありませんが、発芽率が上がるという体験談がある人が多いように感じます。

 

ラップ(蓋)

ラップ(蓋)は種子が発芽するまでの間、容器に蓋をして超簡易的な温室を作るために使用します。

鉢(容器)に蓋をすることで空中湿度を高めて種子が乾燥しないようにしたり、太陽光の熱を利用した保温効果によって発芽が早くなることが期待できます。

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鉢が小さく、数も少ないのであれば、鉢ごとジップロックに入れて霧吹きを使って空中湿度を高めて管理する方法でもいいかもしれませんよ!

 

あると便利な道具たち

その他にも、あると便利な道具をいくつかご紹介します。

  1. 温湿度計
  2. ピンセット
  3. ふるい
  4. 園芸用ラベル(ネームプレート)

こちらについては必ず必要というわけではありませんが、あると作業が捗ったり管理が楽になったりします。

 

温湿度計

実生をする上で「温度」と「湿度」の状態は種子が発芽する上で重要な要素になります。

「温湿度計」を導入することで、実生している環境がどのような温度・湿度なのかを知ることができ、種子が発芽するための環境を構築できます。

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下記のSwitchbotの温湿度計は現在の温度と湿度が確認できるだけでなく、情報が記録されていくため、アプリを使用することで過去の情報も振り返ってみることができます。

就寝時や外出時など自宅にいない時の状況まで知ることができるため非常に便利です。

 

ピンセット

濡れた種子を土に蒔く時に、直接手で蒔くと中々手から離れてくれず、自分の思った場所に種子を置けないため非常に苦労します。

そこでピンセットがあると、種子との設置面が少ないため、狙ったところに容易に種を蒔くことができます。

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ピンセットといっても先が丸いものや細いものなど種類がありますが、できれば先が細いものの方が、種子との設置面積をより小さくできるので種まきがさらにやりやすくなります。
その一方で、先が尖ったものは種子を傷つける可能性もあるので、そこはご自分のお好きな方を選んでいただければと思います。

 

霧吹き

後ほど解説しますが、種子が発芽するためには「水(湿度)」が重要になってきます。

そのため、種子を乾燥させないように霧吹きを使用して空中湿度を上げたり、種子に水をかけて湿らせるために霧吹き使用します。

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霧吹きはなるべくミストが細かく、柔らかく(優しく)出るものがいいでしょう。あまりに勢いよく出るものは種子を飛ばしたり、根を折る可能性があります。

 

ふるい

土の種類によっては袋に入っている土のサイズがバラバラなことがあります。

実生において、表土はなるべく細かい(小さい)土の方が根が潜りやすいため、土のサイズの選別作業を行うときにふるいがあると非常に便利です。

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「ふるい」といっても園芸用ではなく、食品用の「ざる」でも代用することができます。

 

園芸用ラベル(ネームプレート)

園芸において、植物の種類が1種類であれば問題ありませんが、数種類以上になってくると、どれがどの種類(品種)なのかがわからなくなることがよくあり、実生においてはこの問題が顕著に現れます。

そのため、数種類以上の植物を実生しようとしている方には、どの鉢にどんな植物を植えたのかを忘れないようにするためにも園芸用ラベルを使用することをオススメします。

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もしくは、名前を書いたマスキングテープ等を鉢に貼って区別するのもいいと思います。

 

発芽条件

種子が発芽するためには「水(湿度)」「空気(酸素)」「温度」の3つが発芽するための条件としてあり、その他に発芽に大きく関わってくるものとして「光」と「種子の鮮度」があります。

「えっ!発芽に栄養素(肥料)や用土は関係ないの!」と思われた方、その通りです。発芽自体には用土や肥料は関係ありません。ですが、発芽した苗が成長するためには生育に適した用土や肥料(栄養)が必要となります。

次からはそれぞれの要素の役割や重要性について解説していきます。

 

①水(湿度)

種子は乾燥した状態で保存されていますが、種子は乾燥状態にあると休眠してしまっています。

そこで、種子を目覚めさせ、活動を始めさせるには水分が必要になります。

水分を吸収させて休眠から目覚めさせることで種子が活性化し、種子が膨張して発芽し始めます。

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種子に水を吸収させるために、種を蒔く前に浸水させたり、蓋をして空中湿度を上げることが必要になってきます。

 

②空気(酸素)

成長した植物と同じように、種子自体も呼吸を行います。

休眠時は穏やかだった種子は、水を吸収したことで呼吸を始めて発芽するために必要なエネルギーを作り出します。

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空気(酸素)については、真空状態で種まきをすることなんてありませんので、あまり意識する必要はありません。

 

③温度(発芽適温)

人間にも活動しやすい温度があるように、種子の発芽には適切な温度(発芽適温)があります。

人間も暑すぎれば動く気がなくなり、寒すぎると動きが鈍くなるように、種子も温度が高すぎると枯れてしまい、低すぎると発芽が遅くなったり、停滞したりしてしまいます。

植物の種類によって最適な温度(発芽適温)は異なりますので、種子ごとに適切な温度管理が必要になります。

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この「温度」というのが、種まきをする「時期」に関わってくるということになります。

 

「冬場のような寒い時でも種を蒔きたい!」という方は、部屋のヒーターを使用して室温をあげるか、下記のような育苗用のヒーターマットや温室用ヒーターを使用することで、冬でも実生を行うことができます。

↑温度調節機能なし↑

↑温度調節機能あり↑

 

④光(明るさ)

ほとんどの種子にとって光が発芽に影響を与えることはありません。しかし、一部の種子は発芽に光を必要とするものや、逆に光が発芽の邪魔をするものがあります。

発芽に光(明るさ)を必要とする種子を「好光性種子(こうこうせいしゅし)や光発芽種子(こうはつがしゅし)」と呼び、光が当たらない方が発芽しやすい種子を「嫌光性種子(けんこうせいしゅし)や暗発芽種子(あんはつがしゅし)」といいます。

種子が好光性種子と嫌光性種子のどちらの性質なのかによって、光(明るさ)の調整をするために覆土(土を被せること)をするかしないかが決まります。

 

⑤種子の鮮度

種子の鮮度は上記で説明した4つの要素以上に重要だと思っています。

種子は新鮮であればあるほど発芽率が高くなり、時間が経過して種子が古くなればなるほど発芽率が低下していく傾向にあります。そのため、一般的には種子は収穫後1年以内に発芽させるのが望ましいとされています。

つまり、種子の鮮度が悪ければ、発芽に必要な3要素(水、空気、温度)や光の管理が完璧だとしても、発芽率は低くなってしまうということです。

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つまり、種子を発芽させるには「種子の鮮度」が一番重要であり、種子の鮮度が良ければ周囲の環境が多少悪くても発芽してくれるというわけです。

 

基本的な種まきの方法と手順

種をまく方法といっても、「直接土にまく方法」や「濡れたキッチンペーパーなどで挟み、発芽したら土に植える」やり方など、いくつかの方法がありますが、今回は直接土にまく方法を実践していきます。

STEP
鉢(容器)と用土などを準備する

まずは「種まきをする上で必要なもの」の項目でご紹介した道具たち一式を準備します。用土で通常の土(単用土)を使用する方は、この段階で用土を配合してください。

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管理人は今回播種する種子数が多いので、鉢はプレステラではなく育苗箱を使用しました。 

 

園芸ラベル(ネームプレート)もしくはマスキングテープを使用する場合は、植物名を書き、マステは鉢に貼り付けてしまいます。

また、植物名と同時に播種日を書いておくことをオススメします。

STEP
鉢(容器)に用土を入れる

鉢に用土を入れていきますが、鉢底から表面まで同じ土にしてもいいですし、下半分を通常の土(単用土)、上半分を種まき用の土やバーミキュライト赤玉土(細粒)を1:1で配合したものを使用してもOKです。

重要なのは表土付近は必ず目の細かい土を使用することです。
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管理人が使用した用土は、今後一年程度は植え替えをしなくて済むように、赤玉土鹿沼土を1:1で配合し、鉢の下半分に配合した用土の中粒、上半分に極小粒・細粒を入れて栽培します。

 

用土の微塵をとるために、鉢底から出る水が濁っている状態から透明に近い水が出るまで上からたっぷりと水をかけ流します。

STEP
用土の消毒

鉢に入っている土に満遍なく熱湯をかけ、用土の殺菌を行っていきます。目安としては用土から湯気が出てくるまでしっかりと熱湯をかけます。

熱湯消毒後の用土は熱々なので、用土がしっかりと覚めるまでに次の作業を行います。(用土が冷めるまでは大体数時間かかると思いますが、十分に冷えるまで待ちましょう。)

STEP
種子の殺菌と浸水

メネデールと殺菌剤(ベンレート、オーソサイドなど)を水で希釈し、メネデールと殺菌剤の混合液を作ります。

希釈倍率についてはメネデールは100倍希釈、ベンレートは1000倍希釈、オーソサイドは800倍希釈、その他の殺菌剤についてはそれぞれの殺菌剤に応じた希釈倍率に従って希釈してください。

 

作成した希釈液に種子を入れて半日〜1日程度、種子に水を吸収させるために浸水させます。管理方法としては容器にラップ等で蓋をして、常温で管理します。

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生命力が強い種子や元気な種子は1日程度水につけておくだけでも発芽してくることがあります。

STEP
種子をまく(播種する)

希釈液に入っている種子を取り出し、種をまいていきます。(希釈液はこの後も使用するため捨てないでください。)種子をまくときには、種子同士が重ならないように等間隔にまくことをオススメします。

種子同士が重なっていると発芽率が低下する可能性があり、発芽したとしても同じ場所に集中しているため、株同士が押し合いへし合い状態になってしまい、成長に遅れが出るかもしれません。

STEP
水を入れて、容器に蓋をする

鉢を受け皿(育苗トレー)の中に置き、受け皿の中に先ほどの種子を浸水させていた希釈液を入れ、容器にラップ等で蓋をして空中湿度を高めます。

これで種まきの工程は終了になります。
STEP
定期的に発芽状況やカビ等が生えていないかを確認する
種まき後も安心せずに、定期的(できれば1日に1回程度)は発芽状況やカビ等が生えていないかを確認しましょう。

もしカビが生えた種子があれば、カビてしまった種子と周りの土も念の為に軽く取り除きます。
カビてしまった種子は基本的に発芽することはありませんので、廃棄してしまって大丈夫です。
STEP
大体の種子が発芽したら蓋を外して管理する
大半の種子が発芽したのを確認したら、ラップ(蓋)を外して管理します。

いつまでもラップ(蓋)をつけていると、徒長させてしまったり、せっかく発芽した苗が溶けてしまうことがあります。

 

実生の成長記録

播種日

2023年2月に輸入された100粒の種子を、2023年4月4日に播種しました。

管理方法や場所としては、室内の窓際で11時頃から15時頃まで日が当たる場所で管理しています。温度は昼間は室温が16〜21度前後、夜間はヒーターを使用して室温が16度前後をキープするように管理しています。

 

1ヶ月目

【3日目(0ヶ月3日)】-2023/04/07-

種子を蒔いてからわずか3日で発根を確認することができました。まだ芽は出ていないようですが、種から白い根が顔を出しています。

今回は約100粒も播種(はしゅ:種を蒔くこと)しているので、発芽率についてはある程度発芽してから確認します。

 

【7日目(0ヶ月7日)】-2023/04/11-

発根から4日経過しましたが、薄い黄緑色の葉っぱが見え始めました。くびれから下の部分が根っこ、くびれから上葉っぱになります。

根っこの周りにふさふさとしたものが生えることがありますが、これはカビではなく「根毛」になりますのでご安心ください。

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根毛は植物が根の表面積を増やして、水や栄養素を効率的に吸収しようとする働きがあります。

 

【11日目(0ヶ月11日)】-2023/04/15-

前回の発芽記録から日ほど経過しました。発芽したばかりの頃は薄い緑色だった葉ですが、今ではどの葉も濃い緑色に変化してきました。

 

また、種を蒔いてから12日が経過したところで大半の種子が発芽してきたため、本日からはラップ(蓋)を外して管理していきます。

 

【23日目(0ヶ月23日)】-2023/04/27-

葉に入っていた「シワ」のようなものが段々と深く大きくなっていき、とうとう葉の下の方が裂けて(割れて)きました。

アガベ初心者の管理人にとって、葉にシワがある時は「腰水管理してるけど水不足なのかな?」とも思っていましたが、この裂けた部分から本葉が出てくるようです。

 

【31日目(1ヶ月1日)】-2023/05/05-

以前に報告した、葉に入っていた「割れ目」から本葉が出てきました。

出たきたばかりのため、葉はまだ小さく鋸歯(トゲ)は入っているようには見えませんが、ぴょこっと生えている姿はとても可愛らしいです。

 

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